コツコツ貯めたポイントで、ようやくダイソンの扇風機と交換することができた。手に入れる前から、「きっと驚くほど涼しい風を送ってくれるに違いない」と胸を躍らせていた。
ところが実際に動かしてみると、思いのほか騒がしい。普段から静音性の高いDCモーター扇風機に慣れていたせいもあるが、それでも一般的な扇風機より音が大きく感じられる。もし最初からこれを購入していたら、「コピー品でも良かったのでは」と思ってしまうかもしれない。高級感についても、期待していたほどではなかった。プラスチックのテカリが気になって仕方がない。
とはいえ、風量は手持ちの縦型扇風機より明らかに強く、その点は確かな魅力がある。さらに冬場にはファンヒーター的な使い方もできるという。静けさよりも多機能性を評価し、これからはその可能性に期待してみたい。
90年代という時代は、遠ざかりすぎて今では輪郭さえ曖昧だ。けれども、不思議と「バイブス」を信じていれば自然とその方向へ導かれてしまう。理屈を重ねても結局は無駄なのだろう。
自分の感性は、おしゃれや洗練からは大きく外れた、不格好なキメラのようなものだ。どこか救いのない性質でありながらも、そうして形づくられたまま日々を過ごしている。まるで、かつてのゾンビが大人になり、家族を養いながらも歩みを続けているかのように。
『Still Wakes the Deep』の日本語翻訳をちらりと確認してみた。
翻訳者としてまず評価すべきは、開発者の意向を踏まえたうえでリリースまで辿り着いた点だろう。よくある悪例では、翻訳が不評になるとベンダーが責任を翻訳側へ押しつけることがある。しかし今回そうした話は表立って出ていない。少なくともメーカーと翻訳者、その周辺との関係性は健全に見える(実際の内情は分からないが)。
一方で、個人的に気になったのは「九州弁が強すぎないか」という点だった。本来なら東北弁や関西弁など多様な方言の可能性があるはずだが、作品全体がまるで武雄市や松浦市あたりで起きた事件に置き換わってしまったかのような違和感を覚えた。洋上の惨劇という閉ざされた舞台だからこそ、もっと別の説得力を持たせることができたのではないかと思う。
思い出すのは、かつてディスカバリーチャンネルで放送されていたカニ漁師たちの番組だ。字幕は標準語だったが、話しぶりの粗さは言い回しで十分に表現されていた。今の日本では、字幕や書き言葉は基本的に標準語が使われ、方言はイントネーションとして耳で感じることが多い。だからこそ、文字に方言をそのまま落とし込むと、演出としては非常に強烈になる。
もし粗野さを表現することが目的なら、方言に寄せるよりも、独特の言い回しや文化圏の雰囲気――たとえばヤンキー的な言葉遣い――を取り入れた方が、最終的には作品のセールスにも貢献できたのではないか。もちろん、余計なお世話ではあるが。
GeminiでYouTube動画を要約させると、20分の内容がわずか20秒に凝縮される。情報の要点だけを拾うには実に重宝する。話芸を楽しむなら等倍再生でじっくり見るが、情報にしか価値がない動画であればGeminiの方が圧倒的に便利だ。言い換えれば、そうした動画は「話者の肩書きが前面に押し出されているだけ」とも言える。
一方で、ChatGPTの「一文字ずつ現れるスピード感」に慣れている身としては、Geminiの応答はあまりに速く、圧倒されるほどだ。打てば響くどころか、欲しい以上の情報が洪水のように押し寄せてくる。その迫力には驚かされるが、同時に「この情報は本当に信頼できるのか」と考え始めると、どうしても不安は拭いきれない。
また仕事で台湾に行ってきた。
今回は打ち合わせに追われ、一週間がそのまま潰れた。念のためインストールしておいた Destiny Rising も一度も起動できず、ゲームどころではなかった。結局は「寝て次の日に備える」しかない毎日だった。
理由は単純だ。中国語と英語が超高速で飛び交い、日本語も立場の違う視点から入り込み、そこに品質の悪い自動字幕や、不安定な中英の同時通訳が重なる。八時間も頭に流し込み続ければ、吐き気がするほど消耗する。最後は気合でビールを流し込みながら、もはや自分の仕事の細部などどうでもよくなっていた。
会議という名目で実際は一方的な演説を聞かされ、その内容を日本に持ち帰り、どうにか「染み込ませて」消化しなければならない。準備のないまま臨んだ以上、正直に言えば無謀だった。
全行程が終わり、足裏マッサージに立ち寄ると「全然運動していない」と叱られる。値段は日本とほとんど変わらず、為替が動かない限りわざわざ行く気はしないと思いながら、ふくらはぎを執拗に揉まれていた。
仕事の関係で八年ぶりに光華商場を視察した。相変わらず台湾らしい尖りを持った街ではあるものの、俯瞰すると驚くほど退屈になっていた。かつての秋葉原のラジオ店街の延長のようで、proxyショップばかりが目につく。面白さを求めるなら、今の秋葉原の方が品揃えも対応力も豊かだろう。印象に残ったのはSyntrendで見つけたiPhoneケースブランド「Devilcase」くらい。Thermaltakeの店舗はコンセプト的に尖っていたが、常設店としては息苦しく、まるでComputexのブースをそのまま移したようだった。イベントスペースなら盛り上がるだろうが、毎週末に催しを打たなければ難しそうだ。
秋葉原に電源専門店や液晶専門店、修理専門店が本格的に揃ってしまえば、光華商場は太刀打ちできない。そんな未来さえ思い浮かんでしまった。