食が細くなった。
脂身を口にすると、すぐに体調が崩れる。以前とは明らかに違う。老いが、確実に身体に出ている。
かっぱ寿司で、いつものように皿を重ねようとしたが、途中で気分が悪くなった。満腹を待たず、胃が先に拒んだ。かつては限りなく食べられた。満腹も、節度も、どこか他人事だった。
思えば、その感覚こそが、太る理由のひとつだったのだろう。無制限な食欲は、若さに支えられた錯覚だったのかもしれない。
煮浸しをつくる。
BGMは大江千里「夏の決心」。
公園の水場では、子どもたちが笑い声を上げている。その横を通り抜けて、スーパーへ向かう。働かず、ただ暮らしを整えて過ごしたい――そんな願いが、夏の陽に黒くなるまで炙られる。
台所は、冷房の風が届かない。
安普請の鉄骨からの熱を感じつつ鶏肉、ナス、ししとうを順に炒め、ビミサンとバルサミコ酢で煮る。仕上げに胡麻油をひとたらし。火を止め、冷まして、煮汁を染み込ませる。
常備菜用の器はとうの昔に処分した。
かわりに、手近なステンレスのボウルを使う。それで十分だ。あとは、冷蔵庫に任せるだけ。
昼下がり。ぬるい煮浸しをひと口。
夏の疲れが、少しやわらぐ。
旅行先で買ってよかったアイテムを知るのは好きだ。
けれど、レビュー動画ばかり見ていると、ときどき我に返る。自分は何を見せられているのかと。
実際に役立ったもののひとつに、部屋用のサンダルがある。シリコンゴムの、薄手の突っ掛け。濡れてもすぐ拭けるし、柔らかくて硬い床でも足に響かない。使い勝手がよく、宿ではもちろん、帰宅後もベランダ用にそのまま使い続けた。
大事に保管しようと思わない気楽さもよかった。ビルケンのような厚いものは荷物になる。こういう時は、とにかく薄いほうがいい。
AIも使わず、ただキーボードに向かって思いつくままに日記を書いている。
けれど、あまりに文章が乱れていて、読み返すのも億劫になることがある。書くことに集中するあまり、内容の整理もせず、推敲もしていない。脳内の言葉を、そのまま指先から垂れ流しているだけだ。さすがに、これは見直したほうがいいのかもしれない。
だから、AIで整えていく。