1800

Stabiesの良さを推す人々がいるのは認識している。だが、しかし、入手性という側面を見逃すわけにはいかない。その観点からすると、TX stabilizerとStabiesの間には性能と安定した感覚に差異を見いだすことは難しい。

さて、なぜか自分はこれまで一度も1800タイプのキーボードを手にしたことがなかった。そんな自分のこれまでの選択を見つめ直すべく、Brutal V2 1800を注文してみた。選んだスイッチはchaosera klein linear。なぜなら、自分の好みは55gの重さに安定していることが明白だからだ。62gとなるとどうしても重く感じてしまう。慣れれば問題ないとは思うが、タイピングの速度や指の疲労度を考慮すると、どうしても55gに引き戻されてしまう。

だがしかし、いざ組み立ててみると「これは62gだろうか?」と感じる硬さだ。一方でその音は実に優雅で、BananaSplitで組んだ時のスイッチと同じように「Murble」と呼ばれるような独特の音がする。これはなかなかのものだと思う。

そして配置。
どうしても気になってしまう。完成品としては良好であるが、自分の理想とは一線を画す配置に思索が至る。自分にとって最適ではないものが、一方で完成品としての価値を持つ。これはなんとも哲学的な問題ではないか。

さて、実際にこのBrutal V2 1800を組み立て、使い込んでみての感想を述べるとすれば、これはまさしくKBD8x MKIIの精神的な後継機種であると言えるだろう。デザインを担当したのが同一人物であるから、当然ながら多くの共通点が見られる。

現在では、KBD8x MKIIはほぼ販売終了状態で、黄色のモデルが僅かに残っている程度だ。そこで、もし気軽にAi03氏のキーボードを体験したいという人々にとって、Brutal V2 1800は最適な選択肢であると思われる。レビューでは高価格を指摘する声が多いものの、品質に対する否定的な意見はほとんどない。これがわかっていれば、購入の是非を判断するのは容易であろう。

自身が実際に触れてみた感想としては、Insert/Delなどのキーに対して特別な感情を持つものでなければ、大いにこのキーボードを試す価値はあると思う。配列自体は大型ノートPCに類似しており、そこに慣れ親しんでいる人にとっては、全く問題とはならないだろう。

テンキーレスキーボードというのは、あまりにも購入できる機会が少ないからこそ、実際に推薦できるモデルが驚くほど少ないのだ。とはいえ、KBD8x MKIIとTiger lightがあれば、ほとんどの需要は満たせるのではないかと思う。特に初心者であれば、PCMKが大方の答えを提供してくれる。

私自身がこれまで様々なモデルに触れてきた感想を述べるならば、F13キーは必要ないし、Tiger lightが証明したように、必ずしもアルミ削り出しのケースでなくても良い音は得られる。そこを追求したモデルが出てくるまでは、慌てて購入する必要はないのではないかと思う。

一方、ゲーミングキーボードについては、おおむね安っぽい仕上がりで、それでいて自作系と大差ない価格帯が多い。Corsiarの8000Hzにこだわり、それ以下ではキー反応を認識しないという音ゲーマー界隈でなければ、実際に何を選んでもさほど問題ないのではないかと思う。FPSで高いポーリングレートが必要という経験は今のところなく、製造側には理解できない人が大多数だろうと私は推測している。

結果、「好きなものを探して使え」に行き着く。

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少しずつ、オリジネーターと呼ばれる人たちの音楽を掘る。
Triphopで重苦しいものが嫌だなあと思っていたので、当時のそういう主流じゃない音楽をアレコレ聞く。
叙情的でしんみりしたような感じの方が好きだ。
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=O_rFklcIUqU[/youtube]

あとは、邦楽が自分の中で合わないのを頑張って言語化してみる。
「前向きリズムと憂鬱なメロディ」というのが邦楽の奥深さという解釈をしていて、だから自分の中では合わないのかと納得できた。
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=gFXcwv9XISc[/youtube]

音楽的好みは「マイナーコード進行の中に差し込むメジャーの旋律」からは変わっていないような気がする。攻撃的なリズムや絶望感を感じさせるコード進行の中で、揺れ動くメロディは、人生がうまくいかない状況でも、自分の心だけは幸せであれば救われるのではないかという希望を喚起する。そんな音楽性の魅力にたまらない。

一方で、コード進行を単なる記号のように扱い、人間の感情を雑に枠に収めようとする音楽が増える現象には抵抗感を覚える。特に、ジャズやらアニメソングなどのように、高度な構成や計算された進行が評価される楽曲ほど、私にとっては人間から一番遠ざかった音楽と感じる。そんな感じで、自分自身が偏屈な性格になってしまったようで、若い頃の自分とはまた違った存在になってしまった気がする。「死ねと言ったら死ね」みたいな、全ての選択権を奪い、特定の何かを強制するような引力を感じる。そういう所から自分で好きな音楽でも作ってればいいのだろう、というもう一人の自分の声が聞こえてくる。


YOASOBIのアイドルを初めて聞く。自分とは違う世界の音楽だと感じてしまった。アレコレと音楽の世界に入る仕組みがあってすごいなあと思う一方で、その世界の中にすでにいる人たちと接すると色々と神経質にならないとうまく折り合いが付きそうにないというネガティブな感情が湧いてしまって居心地の悪さを想像した瞬間、止めてしまった。

2023.06.30 / Category : 小噺