とうとう東北泉を都内の某所で買うことが出来た。
あれこれと自分で買おうと10年以上探していたが、適価で買えるところは無く、買うことも出来なかった。
店では碌な会話もせず、淡々と買った。思いを伝えるには相手が疲弊してしまう。そもそも新入りが店で出しゃばると碌な事がない。ここは童貞時代に培った、紳士の対応が活きてくる。

純米吟醸を買った。透明で淡い味わい。
白身の刺し身の脂すらクドい。赤貝の癖にも即していかない。乾き物でちょうど釣り合いがちょうど取れる。ホタテの乾物を口の中で戻しながらその塩気で胃へと流し込む。
まさかと思って、イチゴ味のチョコパイを含んだ時に天啓が脳内に出てくる。

チョコレートの切ない苦味が洗い流した後にも残り続ける。ブランドもののココアでは出てこない、東北泉と一体化した何かが舌と脳を往復し、転がり遊ぶ。

大きな冷蔵庫を買ったのに入れるときは横にしている。
大きいのに1升瓶すらちゃんと入らない。自分の生活の乱れがささいな不幸を引き起こしている。

2023.09.25 / Category : 小噺