2023大晦日

恒例の年末詣。
なんとも頭が冴えない状態で大晦日がやってきた。出かけようとすると頭の中を支配している面倒くささが自分の理性に向かって突然襲いかかってくる。なんとか「心の」当て身投げで部屋の端に投げ飛ばしてから外に出かける。
駅に向かう途中で、今日死んだとしか思えない新鮮なセミの死骸を見つけた。

1年間、懐に入れていたお守りも返納することも電車に乗ってから忘れたことに気がつく。頭のすっきり具合が寝起きから切り替わらない。
運動するとシャキッとするかもしれない。

贔屓の神社にお礼をしてから、ふだを返納する。そしてそのまま明治神宮に向かう。山手線に乗ると池袋駅で大量に人が降りていく。なんとなく「降りたやつ全員、さいたまに行くのか」というよく分からない思い込みが出てくる。◯◯駅みたいな具体的な名前ではなく、さいたまという抽象的な地名に群衆が向かっていく絵だけが頭の中に出来ていく。寝ぼけている。

明治神宮では大量の鳥がつがいを求めて騒がしく鳴いていた。東京の中心地なのだけど匂いが森だ。細かい砂利を踏みしめて本殿へ進み、礼をする。

時計を見るとまだ昼過ぎ。歩いてそのまま千駄ヶ谷のホープ軒に向かう。
昔、浪人生の時に食べていた津田沼のラーメン屋で「元気一杯」という背脂ラーメンの店のようなのを食べたくなったからだ。この店はとっくに無くなっている。10年近く前に閉業直前の稲毛店に行って、頭の中の味との違いにショックを受けて立ち直れていなかった。ホープ軒のカップ麺を食べてもしかして、と思ったのだ。
味としては記憶とは違うが、ここで新しい記憶が作れるのならそれは素敵なことだな、と感心した。手早くサービスを受けながら活気のあるところで食べるラーメンは美味しい。ある程度歩いて腹を空かせていたから尚更美味しく感じる。
ただし、東京の下町から電車を乗り継いで行くのは骨が折れるから多分、次に来れるのは数年後かもしれない。

そのまま秋葉原へPCパーツの買い出しへ。
Antec P20Cの実機を見たら思った以上に良いぞ、と思ったがPCケースが何個も転がっている手前、もう買えない状態であることを思い出して諦めた。
中国語と韓国語の怒号とも思えるような会話が秋葉原の狭い路地にすらひっきりなしに聞こえてくる。コロナ前の爆買いツアー隆盛時の時の時代に戻ったようだ。アラブ系の家族連れもいて、色々な国の人がこの地にたくさん来ている。

以下に帰って買ってきたケースファンを交換する。騒音が半分以下になったような気分だ。
ケースファンは1年単位で交換したほうがやっぱり良いなと噛みしめる。

夜過ぎになって立石の倖佳に行く。大晦日限定のラーメンを年越しラーメンとして食う。1日2杯も食っているがレアケースだ。鶏白湯と豚骨を煮込んだスープがザラザラして、遠くに天下一品を感じる。
ここでは何を食っても旨いので、心配になっている。今でも飽きたら怖いという理由で最高でも月2回までと決めているのだ。
ティッシュで拭っても唇に残るコラーゲンを感じながら、最高の気分で夜の立石を自転車で駆け巡る。

北口商店街は完全に気持ちの悪い町並みになっていて、夜にあまり通りたくない状態になっている。ヨーカドーの向かいにある地下道がくぐれるようになったが、その先の店がすべて無くなったために何の期待もない虚しい道となった。
仲見世通りはいくつかの店だけを残して大体の店は閉めていた。年末の空気になっている。

新年になっていく覚悟がまだ出来ていない。

2023.12.31 / Category : 小噺