落日

驚くほど、一日が早く過ぎる。
何もできないまま日が暮れ、気づけば夜になっている。以前は、終わらない仕事に追われ、時間が止まったような感覚の中にいた。
今は逆だ。
手につかないまま時間が流れ、何も積み上がっていないという焦りだけが残る。

仕事が進んでいないことも分かっている。だが、何をすればいいのか、その輪郭がつかめない。ただ、無力感と並んで座っているような感覚が続いている。


スーツケースについて考える。

消耗品だと思っているので、ブランド物を買う気にはならない。昔はリモワにも惹かれたが、旅行の頻度や使い勝手を突き詰めるほど、試行錯誤してこなかった。毎週のように出張があれば、入れ替える面倒もあって、いずれ慣れてしまうのだろう。けれど、たまに使うとなると、かえって余計なこだわりが頭をもたげる。

大きなサイズに関しては、布製が一番いい。軽さは正義だ。
雨を気にすることもあるが、海外で歩き回って宿を探すような旅はもうしない。いま持っているもので、十分だと思っている。

迷っているのは、40Lと50Lの中型だ。
50Lは微妙な容量で、正解が見えない。今使っている布製も、軽いわけではなく、どこか中途半端な印象がある。


オモコロの「素朴-1グランプリ」を見た。巖手屋の南部せんべいが話題になっていた。あれは、軽くつまむつもりで手を出すと、一袋なくなっているタイプだ。

特に、胡麻のものが好きだ。


DOAの紅葉を研究している。
突き詰めると、不知火舞との違いは、髪を結ぶあの飾りの色に行き着く。

たったそれだけで印象が変わる。色が異なるだけで距離が生まれ、白にすると急に“それっぽい”別人になってしまう。細部を追えば、髪型の分かれ方も想像以上に繊細で、曖昧にしておくと、どこかで見たような「くの一」枠に吸い寄せられていく。思った以上に、際どいところで均衡が保たれているのだと知る。


『Destiny 2』の新シーズンが始まった。

だが、翻訳の粗さが目立つ。肝心なシーンの演出よりも、訳文の不自然さの方に意識が奪われる。おそらく、機械翻訳の出力をそのまま読ませているのだろう。演じる側にとっても、聞く側にとってもつらい。業務品質として見ても、かなり低い。

今回のシーズンでは、物語の初動として伏線が多く仕込まれている。『Destiny 2』に特有の詩的な表現と専門用語の多さもあって、翻訳の質が内容の理解に直結する。うまく訳されたときはそのニュアンスに感嘆するが、今回はその逆。意図が伝わらないどころか、逆に混乱を招いている。

登場人物では、オリン、イコラ、ロディの三人が中心だが、特にオリンのセリフがひどい。全体に説明調で、なおかつ支離滅裂。多重人格なのか、意識障害なのか、そもそもどういう状態なのかが伝わらない。イコラやロディは普通に会話をしているのに、プレイヤー側だけが置いていかれている。訳が原因で、演出意図そのものが読み取れない。

イコラについては、過去のシーズンと同様の口調が保たれている箇所もあり、大きな違和感はなかった。だが、それでも「fix」を「固定する」と訳したり、一人称が突然「僕」になったりするのは致命的だった。台詞に対して素人が首を傾げるレベルの誤訳が平然と残っており、裏側の事情が透けて見えるようだった。

ロディはキャラクター性が曖昧な分、妙なセリフも許容されやすい。
「Ay, no」という台詞には、さすがに日本語の会話には存在しないと言いたくなったが、彼のおかげでイコラの意外な一面が見えたのは収穫だった。

全体を通して、日本語が不自由な人が関わっているのではないかという印象が拭えない。チェック体制や翻訳プロセスが不十分なまま進められているのは明らかだ。アンケートは取っているのに、業務の改善が行われていない。むしろコスト削減の口実として、品質評価の形だけ整えた「出来レース」のようにも見える。

ゲーム内容そのものは、明らかに『Destiny 1』を意識した設計が見える。直線的なマップ構成、大量のクエスト設計など、過去作に通じるものが多い。

UIについては、新たに導入されたダッシュボードが煩雑だ。従来のキャラクター画面に役割が集約されていたものを、無理に分類しようとした結果、情報へのアクセスが逆に不便になっている。もしZabbixのような監視ツール的な仕組みが導入されたら面白いかもしれないが、通信設計は相当複雑になるだろう。


※以下、ネタバレを含みます。

イコラの登場するカットシーンで、「CANINE」の中に浮かぶ「NINE」の表記が印象に残った。
canineという語は、もともと「犬科の動物」を指すが、日常ではペット向け製品などにも使われる言葉だ。しかし、この場面での語感は文脈的にもう少し荒いと思えた。「従順な者」「権力に服従する存在」への蔑称としての響きも含まれていたように思う。

自らをそこまで貶めて語る必要があるのか。
あるいは、その表現が示すのは、ナインに敵対する第三の存在――イコラに干渉し、警告を発する何者かの意図ではないかとも思える。

電話の着信シーンも印象的だった。誰かの声が割って入り、イコラは通話を取れなかった。ナインが他者の人生を操作できる存在であることが前提なら、彼女が強制的に列車による異世界転生も必要なかったはずだ。さらに「なぜ車道に列車がやって来たのか」という点には、もう一段階深い意味がありそうだ。彼女の記憶、あるいは前世の記憶に、列車が結びついているのかもしれない。

イコラの人物像は、転生前のスキルセットから想像される。
1970年代、既に結婚・出産を経て、自家用車を持ち、会社に自室を備え、私服で通勤できた女性。当時としては、目が回るほどの社会的達成である。映画『ドリーム』が描く時代と比較しても、彼女は並外れた「強い人間」として描かれている。仮に現代地球に存在するとすれば、2025年現在、イコラは75歳以上の後期高齢者という計算になる。

時代設定としては、ロディが姿を消したおよそ100年後、2070年頃に人類が火星に進出した可能性が示唆されている。5年以内の実現は難しいというのが正直な印象だが、その未来に向けた布石として描かれているのかもしれない。

PC Gamerでも報じられていたが、イコラの職場にある諜報機関「inventio exploratio observationis conexus」のポリシーが、ゲーム『Control』との関係を匂わせる。ただし、『Control』の方は「inventio exploratio imperium」であり、明らかに異なる世界線と見てよさそうだ。中央に傷を負った惑星のような構造が、トラベラーを思わせる描写もあった。何か似たビジュアルを思い出せそうで、まだ届かない。

脇の風景にあったガソリンスタンド併設のダイナー「Moon」も気になった。
今後、舞台として登場する可能性が高いだろう。また、電車の描写も不思議だった。そこは信号のある交差点で、踏切ではない。にもかかわらず電車が通った。あの描写が物語上、回収されるのであれば、非常に興味深い展開になる。

花の描写について。
娘の存在が直接描かれることは、おそらくない。あれは記憶の断片を象徴する小道具であり、ロディではなく、ナインの誰かが誘導の意図をもって仕組んだものと考えるのが自然だ。

2025.07.20 / Category : 小噺